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収録振り返り ~エルマーの悩み~

みなさんこんばんは.YOTA Japan の JR2KHB です.

4月18日・25日の放送は,「あなたも、ハムの先生に!」でした.新年度ということでの,このテーマ.YOTA 活動の上でも非常に重要なテーマということもあり,ついいっぱい(暴走気味に?笑)喋ってしまいました.


先日のコンテスト回の編集後記でも書きましたが,「わかものハム」の中でもかなり年上になりまして,「センパイ」と言われる方,つまり教える側に立つ機会がほとんどになっています.収録中に出しました言葉で言えば,エルマー (elmer)(改めて調べますと,アマチュア無線界のみの言葉なんですね.英語版 Wikipedia “Elmer” 参照).

そこでいつも気に掛かっているのが,良いセンパイ,良いエルマーに,ちゃんとなれているかなあ,という懸念.

どこかの国の昔の首相のごとく「自分のことを客観的に見ることができるんです」と言い切ったりは出来ない,「あなたとは違」わない平凡たる私.良いセンパイたるよう常々考え,気をつけてはいますが,さて実際にコウハイ達の目にどのように映っているのか,自分では中々判らないものです.

センパイとしての私の行動指針として,「聞き手となり,提供する側でいること」ということがあります.提供というのは,金銭やモノという意味はもちろん,知識であったり,技術であったり,あるいは機会やアイデアであったり.でも一歩踏み間違えると「押し付け」になってしまうので,あくまで聞き手でいることが重要です.

……さて私は,提供する聞き手に,なれているのでしょうか?自分ではそのつもりですが,ただの「つもり」かも,という疑念が,常に頭をよぎります.

コウハイのみなさん,ぜひ忌憚ないご意見をいただけますと…….あっ,でも,事と場合によっては凹むかもしれないので,こっそり教えて下さい.


YOTA Japan からお知らせです!

5月8日土曜日13時より,YOTA Japan 初の公開型オンラインイベント「わかものハムの集い 2021」を開催いたします!

わかものハムの方はもちろん,わかものをサポートする立場の皆様の参加も可能です.詳しくはイベントページをご覧ください!

わかものハムの集い2021 企画ページはこちら


もうひとつお知らせ!

「YOTAコンテスト」が,今年から全世界でスタートします!

開催は年3回!わかものハムとの交信は,10点以上!

まずは第一ラウンド,5月22日土曜日17時から,ご参加ください!

YOTA コンテスト のウェブページはこちら(英語)

日本語版規約(参考)はこちら


それでは,また!

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収録振り返り ~FT8,はじめました~

みなさんこんばんは.YOTA Japan の JR2KHB です.

3月28日の放送は「VUでもFT8」でした.

IC-9700 の発売をきっかけに,V/Uバンドが非常に活発になった印象がありますが,それに加えて,かねてからのFT8ブーム.昨年夏の2m大オープンでは,良い経験をされた方も多いのではないでしょうか.


VUじゃないんですが,FT8をようやく始めたんです.

長らく自宅にHFのアンテナを上げることが出来ず,なかなか「おうちから運用」ができませんでした.そこへ,実は半年ほど前に引っ越しをしまして,新居のベランダに 2m ほどのモノバンド・モービルホイップアンテナを取り付けることができました.それをきっかけに,
「FT8,ぼちぼちやってみっかあ」
といって,ほそぼそと運用しています.出力は,移動する局の設備なので,50Wです.全然飛びません,hi.

HFモービルホイップの難しいところは,なんと言っても,周波数帯域の狭さ!アンテナアナライザがないとやっていられません.私はアンテナカップラ(マニュアルアンテナチューナー)を使って誤魔化していますが,QSYするたびに再チューンが必要で,大変です.

そんな時,FT8は本当にありがたい存在です.周波数固定しっぱなしで良いわけですから!


実は今回のブログは,CQ WPX SSB コンテストの最中に書いております.いろいろ呼びまわっているのですが,ローバンドでは50Wのベランダアンテナではあまりに厳しい.鳴かず飛ばずで,北米はおろか,東南アジア,韓国,中国にも,S9以上で聞こえているのに,全然取ってもらえません.

で,ふらっと 40m FT8に出たんです.

インドネシアのIOTAペディション局が出ておりまして,-5dB くらいで入感しているも,パイルアップになってる様子.しかし,実は私,東南アジア方面には何故か相性がひどく悪く,インドネシアはFT8でも何度か呼んでいるのですが今まで交信できていません.

「強いけど,どうせ駄目だろうから,5回くらい呼んでみてやめよう」
と思って,コールサインをダブルクリックしました.

……なんと,一発でした.唖然としました.

交信できたのはもちろん嬉しいです.しかし,SSBとFT8という差があるとは言え,コンテストの空振りCQ局を呼んで全く応答がなく,一方パイルになっているであろうIOTAペディション局とは一発で交信成立…… 交信できたのはもちろん嬉しいですが,なんだか複雑な気分です.


今回の番組テーマだったVUのFT8も気になっています.しかし流石に住宅街の中の,屋根を越えないようなモービルホイップでは,FT8といえども近隣局しか聞こえず,まだ交信していません.新しいデジタルモード,Q65も登場したことですし,動向を注目したいと思います.

それでは,また!

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収録振り返り 〜リグから教わったこと〜

みなさんこんばんは。YOTA Japan の JR2KHB 須田です。

3月21日の放送は「リグ談義 HF編」でした。

先週のV/U編に続くリグ談義2回目。かっこいい無線機といえば、やっぱりHFの固定機!今回も実に多くの機種が登場しましたね。みなさんは幾つご存知でしたか?私は真空管リグは全然わかりませんでした hi

そう、2009年資格取得、2011年開局の私、真空管リグを触ったことがございません。あの PLATE とか DRIVE とかのツマミ(合ってますか?)を、メーター見ながら動かしてチューニングするのを、実際にやったことがないんです。……あ、でも、手動のアンテナカプラーはいつも使っているので、結局似たようなものなのかもしれませんね。

それでも、写真で見る真空管時代のリグの、無骨ながらも洗練された格好良さには、惹かれるものがあります。もう40年早く生まれていたら、虜になっていたでしょうか。


さて、放送でお話できなかった小ネタをひとつ。

「最も思い入れのあるリグ」として放送でも取り上げた、YAESU FT-920。固定機としてはエントリーモデルで、時代的にはFT-1000系列の下位機種という位置づけになるでしょうか。調べますと、1997年発売、定価198,000円で、その年のグッドデザイン賞も受賞しているそうです。

機能的に嬉しかった部分は放送でお話ししましたが、ここではちょっと一癖あった部分を。

このリグ、送受信に使えるボイスメモリー「デジタルメモリーレコーダー」がついています。当時まだ出始めだったのでしょうか、取扱説明書冒頭の特徴紹介にも取り上げられている機能です。

そんな機能があると,当然CQマシンとして使いたくなるわけです。……が、一つ問題が。

なんとこのボイスレコーダー、録音時間がたった8秒しかなかったのです!

まだ運用もスムースとは言い難い中学生時代でしたから、CQの録音は、時計とにらめっこしながら試行錯誤する必要がありました。最初は「どうぞの『ぞ』が切れた!」、次の録音は「焦って早口になりすぎた!」とか……。ローカルコンテストですとコンテスト名まで言わなくてはならないので、更に時間は詰まります。

いかにコンパクトに、かつ聞きやすくCQを出すか。工夫を重ねた末,「CQであること」「コンテスト参加であること」「コールサインは何か」「CQの終わるタイミングはどこか」この4つだけを伝えるようにして、制限時間に収めることに段々慣れてきました。

今となってはもう、当たり前のように短いCQを出すようになりました。そういうコンテスト慣れも、あの「8秒メモリー」で鍛えられたおかげなのかな、と思ったりしています。


そんなことをふっと思い出したので、今週の編集後記タイトルは「リグが教えてくれたこと」にしてみました。リスナーの皆様にも,そういう思い出、ありませんか?

それでは、また!

JR2KHB 須田

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収録振り返り ~ハンディ機とポータブル機~

みなさんこんばんは.YOTA Japan の JR2KHB 須田です.

3月14日の放送は,『リグ談義 V/U編』でした.

いやあ,会話が止まらなかった!ハンディ機,コンパクト機,50MHzの据え置き機,新しいものから古いものまで,思い入れのあるリグがそれぞれありますね.特にディレクターの「歩く無線機カタログ」ぶりには驚きました(まだお聞きでない方,注目ですよ!).


さて,私の機械の思い出は番組本編に譲るとしまして,今回の収録振り返りでは,番組でも登場した所謂「ポータブル機」について考えてみたいと思います.

今の多くのアマチュア無線入門者は「ハンディ機」で開局するケースが多いように思います.安価・小型であり、144 / 430 MHz 帯が中心になっているためアンテナも小型で済み,さらに運用の比較的簡単な FMモード (+ デジタル)専用です.ハンディ機の普及によって,アマチュア無線へのハードルがぐっと下がった……のだろうと推測します(私もハンディ開局世代ですので,推測しかできません hi).

さて,ハンディ機で入門し,144 や 430 で基本的な交信を覚えた初心者は,次に何処へ進むのでしょうか.

FM衛星ならハンディ機でも出来るのでしょう.でも,HFデビューは?CWは?6m や 10mでのEスポ体験は?

いまの日本のアマチュア無線界を見ますに,ここに大きい「ギャップ」があると考えています.

仮に HF や 6m 等,ハンディ機の先の世界を知ることができて,よしんば興味を持ったとしても,HF・6m へ出れる安価な無線機も少ない昨今です(特にわかものにとっては!).アンテナも住環境によっては気軽に設置できるわけでもなく,また調整も機材の乏しい中では大変です.ハンディ機しか持っていなかった人は,安定化電源や同軸ケーブルも揃えなくてはならないかもしれません.「ちょっと試してみたい」という軽い気持ちでは,中々手を出せないのではないかと思います.

ですが,「先」の世界に触れた経験の有無によって,その人の持つアマチュア無線への印象ががらりと変わってしまうであろうことは,言うまでもありません.

ハンディ機だけの世界を出ることができず,SSB の音すら聴くことなく5年が経ち,廃局してしまう…….そんなケースが少なくないのではないかと思えて仕方ないのです.

40年前,RJX-601 や IC-502 のような「6m のポータブル機」は,開局ほやほやのわかもの達に,「この先にはこんな世界があるよ」という展望を少し,覗き見させてくれていたのかもしれません.

…… 技適が通ってて,ロッドアンテナのついた,HF ないし 6m のモノバンドオールモードポータブル機.3~4万円くらいで出てこないかなあ.夢物語でしょうか?


V/U回の振り返りなのにHFの話になってしまいましたが,6m ポータブル機の話題に一応掛かっているので,ここはひとつ.

そして次回は、お待ちかね、HF編の予定です.お楽しみに.

それでは,また!

JR2KHB 須田

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収録振り返り ~待ち遠しや,マルチオペ~

皆さんこんにちは.YOTA Japan の JR2KHB 須田です.

3月7日の放送は,「WPXコンテストの勝ち方」でした.

RIO さんによるマルチオペの作戦立案レクチャー,とても勉強になりました!私もマルチオペでコンテスト運用するのが大好きでして,いつもウキウキで出かけるのです.ぜひ次回には活かしてみたいと思います.

次回がいつになるか,コロナ禍でまったく分かりませんが…….


最近のKHBのコンテスト事情をひとつ.

私のコンテスト参加のほとんどがマルチオペでして,自コールのシングルオペ参加は数えるほどしかありません.学校クラブ局での運用はもちろん,YOTA Japan で行っている若手向けコンテスト運用企画 Youth Contesting Program (YCP) でもマルチオペ運用が主になります.

で,数年前までくらいは,マルチオペの中で自分でどれだけ沢山出来るかな?とやっていたのですが,最近は「なるべく交信しない!」と言っております.

別に交信が嫌になったわけではありません.

大学のクラブでもすっかり年長側になりまして,可能な限り他のメンバーに交信機会を譲る,ということにしています.YCP でも運営側ですので,参加してくれた若手の方に運用時間を,という動きになる場合がかなりのケースを占めます.

実際,運用機会確保のために裏方に回ったり,サポートに回るのが,なかなかどうして自分に合っていて楽しいのです.そのうち,半ば冗談で,「今日の交信目標は0局!」と言うようになりました.

それでも,なんだかんだマイクが回ってくることが多くて,達成したことはありません,hi.それもまた,楽しいのです.


今年はまだ,マルチオペ運用を気軽に企画するには早そうですが,来年のコンテストシーズンでは,楽しい楽しいマルチオペを是非やりたいものです.ああ,待ち遠しい!

それでは,また!

JR2KHB 須田

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収録振り返り ~MMANAは面白い!~

皆さんこんにちは.YOTA Japan の JR2KHB 須田です.

2月28日の放送は,「アンテナシミュレータで遊ぼう」でした.

放送でも熱弁してしまいましたが,MMANA,本当に面白いです.あっという間に数時間溶けます.
「あっ,もうこんなに遊んじゃってる!ここの調整だけしたら終わろう!」
と気づいてから,さらに数時間溶けます.

現代のソフトウェアのようにグラフィックで設計していく,という使い方ではないので,最初はなかなか分かりづらいのですが,一度使い方を覚えると楽しくて仕方ありません.スルメです.放送でご紹介しきれなかった小ネタ,コツも沢山あります.

ここで,収録後にメンバー間で話題になったコツをひとつご紹介しましょう.「給電点をワイヤの中心からずらしたいとき,どうするの?」というもの.

実は MMANA の給電位置の指定は一癖ありまして,ワイヤの中心,両端以外で給電するときは,「シミュレーション計算上の,ワイヤ分割の単位」でずらすことになります.普通,ワイヤ分割は自動で行われるので(手動指定もできます……詳しくはソフト同梱の説明書・補足説明をご参照ください),たとえば「中心から○センチの位置で給電したい!」という指定は難しいことがあります.

こういうとき,私は,ワイヤを3分割してしまうことにしています.真ん中のエレメントを十分短くして給電位置に合わせて配置し,その中央から給電することにするのです.こうすることで,給電位置を事実上任意に設定できるようになります.

この「微小給電ワイヤ」のテクニックは,ワイヤ端,例えばエレメントの角から給電するときにも役に立ちます.私の使っている MMANA ver 1.77 では,給電位置をワイヤ端にしようとするとうまく指定できないことがあり,その場合はワイヤ端に微小給電ワイヤを置くことにしています.多少形が変わることになりますが,給電ワイヤを十分小さくすればその影響は無視できるようになります.

下の図は,20 m バンドの V-DP に対して,長さ 2 cm の給電ワイヤを設けた例です.

「MMANA,こんなときどうするの?」という疑問がありましたら,ぜひ番組宛お便りいただければと思います.分かればお答えしますし,分からなければ一緒に悩みます hi

それでは!

JR2KHB 須田

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収録振り返り ~どうなる?社会貢献活用~

皆さんこんにちは.YOTA Japan の JR2KHB 須田です.

2月21日の放送は,「アマチュア無線の社会貢献での活用について、考えてみよう」でした.

今回のテーマ,それぞれ強い思いがあるところではないでしょうか.ハムのラジオメンバーも例外ではありません.

少し裏話をしますと,放送回ごとにディレクターが「進行表」を用意してくださいます.時間割や話しておきたい内容,紹介するお便りなどがまとまっていて,収録のときはこれを見ながらトークします.

それで,今回の進行表はどうなっていたかと言いますと,総務省の資料に書かれている文言の引用以外は,「フリートークしましょう」の一言.まったく筋書きなしです!

それでも,いざ収録が始まってみれば,議論が止まらないのがハムのラジオ.実に白熱した収録になりました.収録が終わり録音を止めても話し足らず,ディスカッション続行になったのは言うまでもありません hi.


さて,2週に渡ってこのテーマを取り扱いましたが,私が主張したかったのは,
「アマチュア無線に社会貢献という価値を加えるのは,基本的にはプラス」
ということです(しつこい?).純粋に,アマチュア無線家が胸を張れる機会が増えるのは嬉しいことのはずです.そして,よしはらディレクターの記事にもある通り,こうした価値付けがはっきり明記されることによって「社会に胸を張れるアマチュア無線」が実現しやすくなる.その事自体は,素直にポジティブに受け止めて,歓迎したいと思っています.

ただ,素直に喜べない理由があるので,きちんとアマチュア無線側で自治してその不安を取り払いたい,という,一種の「例外処理」が問題になっていると思うのです.

それをきちんと自治するために「ガイドライン」を……というお話は,ぜひ番組本編をお聞きください.


もう一つの話題.

番組で,よしはらディレクターが米国でのアマチュア無線の扱いについて触れていました.

FCC Rule の中で,アマチュア無線については Part 97 に記述されており,アマチュア無線の定義は §97.3 に書かれています(日本でもおなじみのITU準拠の定義です).

しかし,Part 97 の冒頭,定義に先立つ形で,こんなセクションがあります.

§97.1   Basis and purpose.

The rules and regulations in this part are designed to provide an amateur radio service having a fundamental purpose as expressed in the following principles:

(a) Recognition and enhancement of the value of the amateur service to the public as a voluntary noncommercial communication service, particularly with respect to providing emergency communications.

(b) Continuation and extension of the amateur’s proven ability to contribute to the advancement of the radio art.

(c) Encouragement and improvement of the amateur service through rules which provide for advancing skills in both the communication and technical phases of the art.

(d) Expansion of the existing reservoir within the amateur radio service of trained operators, technicians, and electronics experts.

(e) Continuation and extension of the amateur’s unique ability to enhance international goodwill.

http://www.arrl.org/part-97-text (as of 2021-02-24)

アマチュア無線の基礎付けと目的,ということですが,その中で「a voluntary noncommercial communication service」はアマチュア無線が持つひとつの価値である,と位置づけています.これを元にして,アマチュア無線による社会貢献活動は米国では当たり前,ということになるのですね.

しかしそれは,アマチュア無線の目的の5分の1に過ぎない,ともいえます.

アマチュア無線界が社会貢献以外の部分でも一般社会に胸を張れるよう,いま一度,今まで私達がやってきたアマチュア無線を見つめ直さねばならないと思います.

長くなりました.それでは,また!

JR2KHB 須田